多嚢胞性卵巣

多嚢胞性卵巣の排卵障害



[ 戻る ]
多嚢胞性卵巣の漢方薬は一般の不妊症で使う漢方薬では効果が出ない事が多いです。
他のお店で効果が出ない場合でも一度ご相談下さい。
遠方でご来店が困難な場合はメール相談で配送も出来ます。


1.PCOSとPCOの違い


多嚢胞性卵巣(PCO)
とは、小さな嚢胞が両側の卵巣に多数出来ている状態です。
毎月順調に排卵している場合もあるし、なかなか排卵しない場合もあります。
これに対して多嚢胞性卵巣症候群は病名の一つです。
症候群というのは、はっきりとした原因は解らないけども似たような病態を示す病気を言います。

多嚢胞性卵巣症候群の場合は必ず多嚢胞性卵巣になりますが、多嚢胞性卵巣のすべてが多嚢胞性卵巣症候群とは限りません。
まず、病気と状態の区別をはっきりさせましょう。

多嚢胞性卵巣(PCO
 卵巣内に小さい卵胞が沢山ある状態で、卵胞の閉鎖不全と考えられます。
 沢山あると言ってもネックレスサインのような状態にはなっていなくて、
 卵巣の内部に大小さまざまな大きさの卵胞が見える事が多いようです。
 原因はさまざま。何らかの原因で排卵障害がおこったり、hCGを使い過ぎたりして起こります。
 排卵障害をおこす原因はさまざまです。

 漢方的には、まずPCOを起こす原因を考えます。
 例えば高プロラクチンなどがあります。
 PCOは一時的な場合もあり、自然に解消するケースもよくあります。
 また、自然に排卵していれば妊娠も可能です、
 生理の周期が規則的なら妊娠の確率は普通の人とほぼ同じです。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS
 卵巣にネックレスサインがある。
 生理3日目くらいのLHがFSHよりも高い
 排卵障害がある
 これらが揃うとPCOSと診断されます。
 ネックレスサインの特徴としては
  1.卵胞の大きさが揃っている
  2.卵巣の外側に一列にならんでいる
 という特徴があります。
 卵巣の中に沢山卵胞が見えても、この特徴が揃わないとネックレスサインとは言えません。

 以前は肥満、多毛、ニキビなども診断の目安とされていましたが、最近では
 これらとは関係ないタイプが多くみられます。
 特に日本人では、やせ気味の人が多くみられます。
 無理なダイエットなどが引き金になる事もあります。

 遺伝的な傾向もみられ、お母さんが生理不順で苦労されたという方も多く見られます。
 漢方的な原因としては卵巣の周りの殻が固い為と考えます。
 ですから活血や化痰などでこれらの汚れを綺麗にする方法(体内浄化法)を用います。

PCOMとは
 PCOSと正常の中間型です。
 はっきりとPCOSと診断は出来ないがPCOの傾向があるような場合で、
 他の原因が無いような場合です。

2.診断

多嚢胞性卵巣症候群は、脳下垂体から分泌されるFSHとLHというホルモンの量を測る事によって診断できます。
FSHは正常で、LHが高い場合は、この病気の可能性があります。
ただし、LHは正常の場合でも排卵の時だけは高い数値になりますから、排卵の時期以外に測定する必要があります。

正確に判断するにはLH-RHテストを行います。
これは、ゴナドトロピンリリースホルモンの注射をうって、一定時間ごとに採血して、LHとFSHの上がり方を調べるものです。
正常の場合はFSHは刺激前の2倍程度、LHは3倍程度となります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合は、ホルモン負荷前からLHが高く、かつ負荷後LHの上がり方がFSHよりも急カープになります。

LHとFSHが逆転しているだけでPCOSとは言えません。
超音波では「ネックレスサイン」といって、排卵しない卵胞が多数並んでいる状態があります。
「ネックレスサイン」は同じ大きさの卵胞が卵巣の周辺部を取り囲むように存在する場合です。
卵巣の内部に不揃いの卵胞が沢山みられる場合はhCGなどの刺激によるケースでよく見られ、
ネックレスサインとは少し異なります。

そしてPCOSの場合は排卵障害があります。
もし排卵障害が無いなら、PCOSとは言えないか、仮にそうでも普通に妊娠は可能です。

PCOSかはっきりしないタイプとしてLH>FSH で、排卵障害があり、男性ホルモンも高く、
明らかにPCOSの特徴があるのにネックレスサインが見られないケースがあります。
このタイプは誘発剤が効きにくいようです。
排卵障害があってもはっきりとした診断がつかないため、今後の問題となっています。
ただ、漢方の場合は病名がはっきりしなくても体質や舌や脈の状態、症状から弁証論治して
漢方を決めていく事が出来、このようなタイプでも良い効果が出ています。

3.日本人の特徴

多嚢胞性卵巣は、あまり知られていない病気ですが、実はかなり多い病気です。

多嚢胞性卵巣症候群の場合、男性ホルモンの分泌が多くなる事があります。
ただし、日本人の場合は多くならない事が多いようです。
男性ホルモンが多いばあいは、にきび、多毛などの症状がでます。
実際、私のお店の場合、多毛があるのは5人に1人程度で、あまり多くありません。

4.漢方の考え方

西洋医学では、多嚢胞性卵巣症候群自体の治療は、あまり良い方法がありません。
しかし、排卵誘発剤などを使って排卵をおこし、妊娠に導く事は出来ます。
また、症状が酷い場合は卵巣に穴をあける手術なども行われています。
ただ、この手術であけた穴も、半年くらいでふさがってしまう事が多いので、完全な治療法ではありません。

漢方的に多嚢胞性卵巣症候群は、痰湿(よごれた水、脂、繊維)とか淤血(よごれた血液)といった体内のよごれが卵巣のまわりにこびりついておこると考えられます。
このため、痰湿や淤血をとりのぞいて卵巣の殻を柔らかくして、自然に排卵させるようにします。
この方法は、多嚢胞性卵巣症候群を根本的に治療するとても良い方法ですが、治療にはすこし時間がかかります。

痰湿や淤血を取り除くお薬も沢山あり、どのようなお薬が良いかは、個人個人の体質をよく考えて選ぶ必要があります。

また、痰湿や淤血がたまった原因も考えていく必要があります。

 主なタイプとしては次の5つがあります。
  1.痰湿瘀血・肺熱型
  2.痰湿瘀血・脾虚型
  3.痰湿瘀血・腎陽虚型
  4.痰湿瘀血・肝鬱気滞型
  5.痰湿瘀血・腎精不足型

このうち1-4のタイプは、卵巣の汚れを綺麗にしていけば、比較的妊娠しやすいタイプです。

5.PCO、PCOSと妊娠

排卵していない場合は妊娠の可能性はありません。
ですので、まず排卵する事を目標にします。
生理が来ていても排卵していない場合もありますので、基礎体温をつける事も大切です。

どのくらいで排卵するかは個人差があります。
早い人ですと、1ヶ月以内に排卵する事もあります。
平均的には3-6ヶ月で排卵し始めます。
排卵し始めても、始めのうちは不規則な排卵になります。
不規則な排卵でも、妊娠は可能です。

漢方薬で排卵させた場合は、クロミッドなどで排卵させたより妊娠しやすいように思いますが、統計的なデータをとった訳ではありませんから、はっきりとは分かりません。

多嚢胞性卵巣症候群は、排卵誘発剤でのコントロールがなかなか難しいです。
とういのは、量が少なければ排卵しないし、量が多すぎると沢山の卵胞が出来てしまうからです。

車で例えると、多嚢胞性卵巣症候群は、エンジン(卵巣)や運転手(視床下部)、アクセル(脳下垂体)などには問題が少ない状態です。
簡単に言うと「サイドブレーキ」が引かれている状態と思って下さい。
このような状態でアクセル(排卵誘発剤)を踏み込んでも車は動きません。
仕方がないので、もっと強く踏み込むと車は急発進してしまいます。
サイドブレーキがかかったままでは、車はぎくしゃくして、安定して走る事は出来ません。
サイドブレーキが強くかかっていると、アクセルを踏んでも車は動きません(排卵誘発剤を大量に使っても排卵しません)
サイドブレーキがごく軽くかかっているときは、多少走りにくい程度です(遅れながらも自然排卵します)
このように一口に多嚢胞性卵巣症候群といっても程度の差があります。
もし、強くサイドブレーキがかかっているなら、アクセルを踏み込むよりも先にサイドブレーキをゆるめてあげる事が大切です。

6.PCOSと糖代謝

多嚢胞性卵巣症候群は、インスリン抵抗性と関係があります。
インスリンが多く分泌されると、排卵しにくくなります。
インスリンが多くならないように、普段から繊維の多いものを食べる、GI値の低いものを食べる、おやつには甘い物を食べないなど、血糖をコントロールする事も大切です。
GI値については、ここを参考にして下さい。
 
主な食べ物のGI値一覧

7.卵子の糖化

インスリン抵抗性があると糖質の代謝が悪くなり、卵子の糖化の原因にもなります。
糖化は卵子の質を悪くする原因の一つとして最近は特に注目されています。

当店のお客さんでも、体外を何回やっても卵の質が悪くて諦め気味だった方で
漢方の体内浄化と糖質制限をしたら自然妊娠された方があります。
ですのでPCOSの方でなくても、糖質のとりすぎには注意しましょう。
特に午後3時以降の糖質は要注意です。

漢方の杏村では、この多数の方が相談されています。
ぜひ一度、漢方薬をおためしください。

8.西洋医学の考え方

西洋医学ではPCOSは持って生まれた体質なので治るとはあまり考えていません。
ですので根本治療は諦めて、妊娠を優先します。
当店の漢方で排卵がスムーズになりネックレスサインがなくなり、ホルモンの逆転が解消された
場合、「PCOSは治らないものだから、始めの診断が間違っていた」と言われてしまう事があります。
ただ、西洋医学の誘発剤を使えば多少無理矢理とは言えますが排卵する事が殆どです。
飲み薬で排卵しない場合は注射薬を使います。
その場合、量が少ないと排卵しないし、量が多すぎるは卵巣が腫れる(OHSS)というケースが
多く、慎重に量をコントロールする事が大切です。
また、腹腔鏡(ラパロ)で卵巣の表面に孔をあけて皮を柔らかくする方法もあります。
この方法は、しばらくはスムーズに排卵しますが、半年から1年くらいで孔が塞がり排卵しなく
なる事が多いようです。
これを予防する為にも漢方との併用がお勧めです。