不妊症の漢方治療について その7 「多嚢胞性卵巣型」


多嚢胞性卵巣型は、簡単に言うと、卵巣の殻が固くて排卵出来ない状態です。

多嚢胞性卵巣の現代医学的な特徴は、「ネックレスサイン」とLHの高値です。

ネックレスサインとは、排卵出来ない卵胞がじゅず玉のように繋がった状態で卵巣の中に沢山ある状態を言います。

ホルモン検査では、排卵出来ないので、常に排卵させる為のホルモンLHが高くなります。

通常LHは、排卵直前の短期間だけ多く分泌されます。これをLHサージと言います。

多嚢胞性卵巣の場合は、排卵期以外もLHが高くなります。


多嚢胞性卵巣の漢方治療は、今まで述べて来たものとはかなり違います。

今までの治療は、不足しているものを補う事でした。

多嚢胞性卵巣の場合は、卵巣の周りに淤血や痰湿がこびりついて排卵を阻止している状態なので、まずこれらの痰湿や淤血を綺麗にする事から始めます。
もちろん、淤血や痰湿がたまる背景も考えなければいけません。
ですので、綺麗にするものと補うもののバランスを良く考える事がとても大切です。


痰湿や淤血を取り除く漢方薬は沢山あります。
その中から体質を考えて、一番あっていると思われるものを2つくらい使います。


さらに、痰湿や淤血がたまる背景としては「寒凝血淤型」「腎陽虚」「陰虚火旺」「腎肝胆湿熱」「肝鬱気滞」があります。

「寒凝血淤型」
体が冷え、血流が悪くなり、汚れがたまるタイプです。
川の流れが悪くて、川底に汚れがたまるのと同じです。

「腎陽虚型」
腎陽が不足すると、水が気化しなくなり、また水の流れも悪くなり痰飲として体内にのこります。
このタイプは、色白で疲れやすく、どちらかと言うと冷え性で太りやすいタイプです。


「陰虚火旺型」
陰虚火旺の場合は、火が生じ、津液を煮詰めて、痰を生じさせます。
このタイプの特徴は、通常の陰虚火旺の特徴以外に、にきびと、体毛が濃い事があげられます。
多嚢胞性卵巣の場合、男性ホルモンが女性ホルモンに変化しにくいので、男性ホルモンが多くなる事があります。

「腎肝胆湿熱型」
陰虚火旺型によくにていますが、それよりは体格ががっちりして、太っています。
暑がりで汗かきな事が特徴です。
陰虚火旺型と同じように男性ホルモンが多くなりやすいので、にきびが多く、体毛も濃くなります。
にきびの相談で来られて、実は多嚢胞性卵巣だったとう事が多いのはこのタイプです。


「肝鬱気滞型」
肝鬱気滞の場合は、血流を阻害して淤血が生じます。
このタイプは、イライラしやすく、精神的にも不安定で、プロラクチンも高くなりやすいタイプです。


勿論、これらが入り交じったタイプもありますから、よく判断して、正しい漢方薬を選んでいく事が大切です。

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