不安感

不安感があっても、不安になる原因がはっきりしている場合は病気とは言えません。
特に大きな不安材料が無いのに、常に不安を感じる場合は中医学的に異常ありと考えます。

「大胆」という言葉があります。
胆嚢は現代医学的には、胆汁を入れる袋に過ぎません。
これに対して中医学では非常に大きな意味を持っています。
胆嚢は肝臓に付属する玉のような臓器です。
これを「肝っ玉」とも言います。
つまり胆嚢が大きい人は「肝っ玉が大きい」人で「大胆」な人なのです。
こういう人は不安をあまり感じません。
いつも不安を感じる人は、胆の働きが悪い人です。
ですから、不安感を感じやすい人はまず胆の働きを改善するような処方を考えます。
胆という部分には汚れが溜まりやすいと考えます。
胆に汚れがたまると胆の働きが悪くなります。
ですから、胆を丈夫にするために汚れを綺麗にしておく事も大切です。

胆の働きを考える時、肝の働きも考えます。
これは胆と肝が表裏の関係にあるからです。
肝は全身の気の流れを調整しています。
この働きを疏泄(そせつ)と言います。
肝の疏泄がうまくいかないと、気の流れが悪くなり気滞がおこります。
現代医学的には自律神経失調症のような状態です。
「肝を冷やす」という言葉があります。
この場合の肝(きも)は肝臓だけでなく内蔵の意味です。
人間の体は交感神経が優位になると、副交感神経の働きは抑えられ、内臓の血流量が少なくなります。
この状態が肝を冷やしている状態と言えます。
自律神経が安定して、内臓の血流量がよくなるとリラックスして不安を感じにくくなります。

自律神経失調の状態が長く続くと、肝以外に心と胆に影響してきます。
心は大腦の働き、胆は情緒を代表しています。
自律神経失調症の症状以外にも、不眠、記憶力の低下、不安感、情緒不安定など様々な症状が出てきます。
つまり、精神の病気は中医学では心、胆、肝との関係が深いと言えます。
この3つはお互いに関係していて、切り離して考える事は出来ません。
心には神が住んでいます。
この神が安心できるようにする事も大切です。

このように考えると不安に対する中医学的な対処は
疏肝理気 で 肝の気の流れをよくして肝を冷やさないようにする
胆の機能を良くして大胆になれるようにする
養心安神作用の漢方で、神を安心させる
この3つが大切です。
また、このようなタイプの人は副交感神経の働きが悪いため、胃腸障害が多くみられます。
健脾作用のもので、胃腸を丈夫にする事も大切です。